オイルミストとは、切削作業時の切削油が空気中に飛散したものです。切削油は潤滑剤としての働きがあり作業に欠かせないものですが、一方で人体にも影響があるといわれています。この記事では、オイルミストが人体に与える影響、快適な環境を保つための有効な対策について解説します。
オイルミスト・油煙の
対策方法についてご紹介!
オイルミストや油煙がなぜ発生するのか、どのような影響を及ぼすのかを知っていただくとともに、その対策方法についてもまとめました。
INDEX
オイルミストが人体に与える影響は?
オイルミストとは、微粒子状の油が空気中に浮遊したものです。主に、金属の切削で潤滑油として使用する切削油の飛散や、圧縮空気を作る際の潤滑油の混入などによって発生します。特に多いのが、切削作業で高温になった切削油が蒸発して飛散するケースです。
切削油は、作業時の摩擦熱による工具の劣化を抑制したり、潤滑作用によって加工をスムーズに進めたりする効果があります。切削作業には欠かせない切削油ですが、オイルミストとなって大気中に飛散すると人体に影響を与える可能性があるということを理解しておきましょう。
オイルミストが人体に与える影響
- オイルミストの付着による目や皮膚の疾患
- オイルミストの吸入による呼吸器の疾患
- オイルミストの吸入による不快感・頭痛
- 視界不良による転倒事故 など
オイルミストが目に入ったり皮膚や衣服などに付着したりすると、痛みや肌荒れなどの皮膚疾患を招く恐れがあります。また、オイルミスト特有のにおいによる頭痛や不快感、吸い込んでしまうと呼吸器系の疾患につながるケースもあります。元々アレルギー性の疾患を抱えている場合は、症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
さらに、オイルミストの“もや”で視界不良になったり、床に付着して滑りやすくなったりするなど、作業環境の安全性が低下する危険もあります。直接的・間接的に人体への影響や健康被害が起こる危険性が高まるため、オイルミストの対策は不可欠です。
オイルミストの発生原因について詳しくはこちらオイルミストだけでなく「油煙」の人体影響にも注意
オイルミストと似たものに「油煙」があります。油煙とは、部品を加工する際に切削油が加工熱によって蒸発・分解することで発生するものです。
油煙もオイルミストと同様、人体に影響が出る可能性があります。皮膚疾患や呼吸疾患などの健康被害を防ぐためにも、オイルミストとあわせて対策が必要です。
工場での油煙対策の方法はこちらオイルミストの人体以外への影響
- 作業環境への影響
- 機械や設備への影響
オイルミストが及ぼす影響は人体だけにとどまりません。作業環境や工場内の機械や設備への影響にも注意が必要です。
作業環境への影響
発生したオイルミストを放置しておくと、天井に付着した油が蓄積され油滴として落下したり、床に油分が付着して滑りやすくなり、転倒や滑落などの事故につながる恐れがあります。
また、オイルミストによる視界不良で作業効率が低下したり、オイルミストへの引火により火災が発生するなどのリスクもあります。
機械や設備への影響
オイルミストは、工場で使用する機械にも悪影響を及ぼす恐れがあるので注意が必要です。機械や制御盤、空調設備などにオイルミストが入り込むと、故障やショート、部品の腐食、空調のフィルター詰まりを引き起こす可能性もあります。
機械や設備に不具合が起きると、メンテナンスにかかるコストが増大し、生産能力が低下するなどその影響は甚大です。
オイルミストは適切な対策が大切
オイルミストや油煙は、人体や作業環境、機械・設備などさまざまな人・ものに影響を及ぼします。対策を怠り放置すると、健康被害につながる可能性もあります。
実際に、オイルミストによる接触皮膚炎や気管支喘息を発症した事例があります。作業者の健康と安全を守るため、また、作業環境や機械・設備の保全のためにも適切なオイルミスト対策が必要です。
オイルミストの人体への影響を防ぐ4つの方法
- 使用する切削油を変更する
- オイルミストの発生箇所をカバーで覆う
- 粉じんマスクやゴーグルを着用する
- 作業環境に適した「ミストコレクター」を設置する
オイルミストによる人体への影響を防ぐには、適切な対策が必要です。正しく対処すれば、作業者の健康と安全が守られ、きれいな作業環境を保持できます。具体的には、次のような対策がおすすめです。
使用する切削油を変更する
工場内で切削油を用いた作業を行っている限り、オイルミストの発生をゼロにするのは困難です。ただ、切削油の種類を変更できる場合は、オイルミストの発生量が少ない切削油を使い飛散量を減らす方法があります。
ただし、加工内容や選ぶ切削油の種類によっては、切削性能が低下してしまうなど作業に支障が出る場合もあるので注意が必要です。
オイルミストの発生箇所をカバーで覆う
オイルミストが発生する部分にカバーなどを取り付け、飛散を防ぐ対策も有効です。ダクトで吸いきれないオイルミストにより、床が滑りやすくなるといった作業環境の問題を解消できます。
粉じんマスクやゴーグルを着用する
粒子状物質の鼻・口からの吸い込みを防ぐ粉じんマスクを着用する方法もあります。防じんマスクは、作業内容や環境に適したものを選定するのが重要です。そもそもオイルミストに対応しているか、性能はどれくらいのレベルかをよく確認しましょう。
また、ゴーグルの装着でオイルミストから目を保護するのも有効です。浮遊しているオイルミストから直接的に体を保護できるため、防じんマスクやゴーグルを着用した作業をおすすめします。
作業環境に適した「ミストコレクター」を設置する
空気と分離するための装置です。
ミストコレクターとは、工場内のオイルミストを吸引して空気と分離させるための装置です。ミストコレクターの使用により、工場内の空気・環境を良好に保てるようになります。工場で円滑に生産活動を進めるためには、前述したオイルミスト対策に加えて、ミストコレクターの適切な設置が大切です。
ミストコレクターは、仕組みや内部構造の違いによって慣性衝突式、過流分離式、電気集塵式などいくつかの種類があり、オイルミストの粒径に応じたものを採用する必要があります。また、ミストコレクターを取り付ける機械、環境によって、設置方法も異なるため、作業環境に合ったものを選びましょう。
オイルミスト対策で安心・安全な作業環境を
オイルミスト飛散による人体への影響を防ぐためには、迅速かつ適切な対策が重要です。放置してしまうと、皮膚や呼吸器系の疾患などを引き起こす危険性が高まります。防じんマスクやゴーグルの着用といったオイルミスト対策とともに、ミストコレクターの設置も検討してみましょう。
オイルミストの対策やミストコレクターの導入のお悩みは、下記からご相談を受け付けておりますのでぜひお気軽にご相談ください。
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