真空ポンプの中でも油を使う種類の場合、運転時に「オイルミスト」が発⽣します。オイルミストを放置すると、⼯場内の環境や機械・設備に影響を与える可能性があるため、適切な対策が重要です。今回は、真空ポンプからオイルミストが発⽣する原因や実施できる対策をご紹介。オイルミスト対策におすすめのミストコレクターについても解説します。
INDEX
真空ポンプからオイルミストが発⽣する原因
真空ポンプは気体を除去する装置であり、いくつかの種類がありますが、「油回転真空ポンプ」や「油拡散ポンプ」などの油を使う種類もあります。油を利⽤することで、気密性を⾼めたり回転動作をスムーズにしたりしています。
しかし、油を使う真空ポンプの排気時には、空気と⼀緒にオイルミストも排出されます。オイルミストは、作業環境や機械に影響を及ぼす可能性があるため、適切な対策が必要です。
真空ポンプから発⽣するオイルミストの危険性
- 作業環境への影響
- 機械や設備への影響
真空ポンプから発⽣するオイルミストは、周囲に好ましくない影響を与えます。主な影響について⾒ていきましょう。
オイルミストの⼈体への影響についてはこちら作業環境への影響
真空ポンプから発⽣したオイルミストを放置することで、⼯場内の天井や壁、床などにオイルが付着します。オイルミストが付着した箇所は汚れや塵が付きやすくなるため、さらに不衛⽣な環境になってしまうでしょう。
また、天井にオイルミストが溜まると、油滴となって落下することもあります。落ちた油滴や床に付着した油で滑りやすくなり、従業員が転倒・滑落するかもしれません。
機械や設備への影響
真空ポンプから発⽣したオイルミストは、⼯場内の制御盤や空調設備に侵⼊する可能性があります。機械・設備が故障しやすくなったり、フィルターの⽬詰まりや腐⾷、電気系統に障害が⽣じたりすることもあるかもしれません。
オイルミストを丁寧に取り除くことで、機械や設備への悪影響を抑えられることもありますが、⼿間やコストがかかる点にも注意が必要です。
真空ポンプのオイルミスト対策
真空ポンプから発⽣するオイルミストを対策するには、「オイルミストトラップ」の設置が有効的です。オイルミストトラップとは、真空ポンプの排気部分に取り付けるフィルターです。
真空ポンプから排出される空気が、内部に搭載されたフィルターを通過するときに油煙やオイルミストを捕集し、外に広がるのを防ぎます。フィルターが捕集した油は液体に戻り、再び真空ポンプの中に戻るため空気中に⾶散しません。
種類 | 特徴 |
---|---|
開放型 | オイルミストトラップを通過した空気を周囲に放散するタイプ |
インライン型 | オイルミストトラップを通過した空気を、ダクトなどの装置を使って外部などに送るタイプ |
開放型のオイルミストトラップは、内部のフィルターでろ過した空気をそのまま周囲に放散する⽅式です。インライン型の場合、別途ダクトなどを設置して、ろ過した空気を外部に送ります。真空ポンプのタイプや排気量に応じて、適切な種類のオイルミストトラップを選ぶようにしてください。
オイルミストトラップのメンテナンス
オイルミストトラップ内の「エレメントフィルター」は、使⽤を続けることで油が溜まり、⽬詰まりを起こす場合があります。⽬詰まりしたまま使い続けると、オイルミストトラップ内の圧⼒が上昇し、破裂する可能性もあるため注意が必要です。
また、⽬詰まりしたオイルミストトラップでは、オイルミストを適切に捕集できません。ポンプ周辺からオイルや⽩煙が発⽣することもあります。適切にオイルミストトラップを使⽤するためにも、定期的にオイルミストトラップ内のフィルターを交換し、内部圧⼒を管理するようにしてください。
- ⽬詰まりを起こしたフィルターは新しいものに交換する
- 圧⼒計を設置してオイルミストトラップ内の圧⼒を管理する
⼯場内のオイルミスト対策には「ミストコレクター」の設置も⼤切
真空ポンプのオイルミスト対策には、オイルミストトラップの設置が有効です。しかし、オイルミストトラップだけでは、発⽣するオイルミストを完全に除去できません。また、真空ポンプ以外にも⼯場内で切削機や旋削機など油を使う機械を扱っている場合は、オイルミストや油煙が発⽣する可能性があります。
真空ポンプだけでなく、他の機械や空間全体でオイルミスト対策を実施することが重要です。空間全体の清浄化に役⽴つ「ミストコレクター」を導⼊し、オイルミスト対策を強化しましょう。
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オイルミスト対策に有効な「ミストコレクター」とは
有害物質を吸引して、空気と分離するための装置
ミストコレクターとは、⼯場内の空気や環境を良好に保つための装置です。気化や噴射などにより空気中に含まれたオイルミストと、空気を分離するために⽤いられます。
環境や機械を守り、⼯場で⽣産活動を進めるためにも、ミストコレクターが必要です。また、ミストコレクターを設置して⼯場内の空気を清浄に保つことで、従業員の健康維持にもつながります。
ミストコレクターの主な種類
ミストコレクターは、内部構造によって4 つに分類できます。それぞれの種類の特徴や仕組みを⾒ていきましょう。
捕集方式 | 特徴 |
---|---|
フィルター式 |
物理的なフィルターを通じて粒子を捕集する仕組みです。シンプルな構造で、専門的な知識がなくても管理できます。フィルターの定期的な交換が必要です。 |
ディスク式 |
高速回転させたディスクに衝突させて捕集します。フィルターが付いていないため、フィルター交換における産業廃棄物が発生しないなどのメリットがあります。 |
サイクロン式(フィルターレス式) |
遠心力を用いて粒子を分離します。一般的なサイクロンで捕集できる粒径は数μm以上といわれ、捕集効率は電気式やディスク式に劣ります。交換部品が少ないのはメリットです。 |
電気集塵式 |
静電力を利用して油分を吸着して捕集する仕組みで、微細な粒子も捕集できます。初期設備投資が高いことや、高電圧装置の取り扱いに注意が必要です。 |
アピステのミストコレクターはメンテナンス性能の⾼いディスク式を採⽤しています。メンテナンス性能だけでなく、捕集性能と省エネ性にも優れているミストコレクターGME-S-Pro/ecoシリーズについてご興味のある⽅は下記よりご確認ください。
オイルミスト対策を実施して⼯場内環境を清浄に保とう
真空ポンプからオイルミストや油煙が発⽣することがあります。いずれも⼯場内の環境を汚染するだけでなく、機械や環境に好ましくない影響を与えるため注意が必要です。オイルミスト対策を実施し、⼯場内の環境を清浄に保つようにしましょう。
オイルミストの対策やミストコレクターの導⼊のお悩みは、下記からご相談を受け付けていますのでぜひお気軽にお問合せください。