冷却能力の決定方法
適切なチラーを選ぶには、設置する場所や環境はもちろんですが、設備やワークから発生する熱負荷に対して十分な冷却能力を持つ機種を選ぶ必要があります。
以下に、熱負荷を求める2つの計算方法をご紹介します。
チラーの冷却能力グラフの読み解く方法も計算方法の後に説明していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
負荷の求め方
被冷却対象物の冷却時間と温度が判明している場合
冷却対象物を何度から何度まで、どれくらいの時間で冷却したいかという目標値から、必要な冷却能力を算出することができます。その場合には冷却対象物の密度を確認する必要があります。
- Q= Vs×Cs×γs×(Tb-Ta) t ・・・❷式
-
● Q : 負荷容量[kW]
● Tb : 被冷却対象物の冷却前温度[℃]
● t : 被冷却対象物の冷却時間[sec] ● Vs : 被冷却対象物体積[m³]
● Ta : 被冷却対象物の冷却後温度[℃] ● Cs : 被冷却対象物比熱[KJ/g・℃]
● γs : 被冷却対象物密度[g/cm³]
算出例
例)幅730mm、長さ920mm、厚み20mmのアルミ板を、3分で34℃から24℃に冷却する場合の負荷容量を計算する。
但し、アルミの比熱(Cs)を0.215[cal/g℃]、密度(γs)を2.7[g/cm³]とする。
※1[cal]=4.2Jであるため、比熱:0.215[cal/g・℃]=0.903[KJ/kg・℃]、密度:2.7[g/cm³]=2688[kg/m³]として単位系を統一して計算する。
❷式より 負荷容量Q= (0.73×0.92×0.02)×0.903×2688(34-24) (3×60) =1.81[kW]
安全率20%を見込んで、1.81×1.2=2.18[kw]
負荷容量2.18[kw]を上回る冷却能力を持つチラーを選定します。
↓↓↓ 計算式にあてはめて、必要な冷却能力のチラーを探す ↓↓↓
以下で計算式に当てはめたチラーをカンタンに選定することができます。ぜひ活用ください。
循環水の負荷(装置)側からの出口温度と入口温度が判明している場合
装置に流れる循環水の出口温度と入口温度、循環水の流量が分かっている場合は、計算式①を用いて装置側の負荷を算出することができます。
- Q:熱量=m:重量×C:比熱×ΔT:温度差の公式から Q=γb×Lb×Cb×(Tout-Tin)×0.07・・・❶式
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● Q : 負荷容量[kW]Lb : 循環水流量[ℓ/min]
● Cb : 循環水比熱[cal/g・℃] ● γb : 循環水密度[g/㎤]
● Tout : 負荷出口温度[℃] ● Lb : 循環水流量[ℓ/min]Tout : 負荷出口温度[℃]
● Tin : 負荷入口温度[℃]
算出例
例)流量12ℓ/minの循環水が30℃で入水し、32℃で出てくる場合の装置側の負荷容量を計算する。
但し、循環水は水で比熱(cb):1.0[cal/g℃]、密度(γb):1.0[g/cm³]とする。
❶式より負荷容量Q= 1.0×12×1.0×(32-30)×0.07=1.68 [kW]
安全率20%を見込んで、1.68×1.2=2.02[kw]
負荷容量2.02[kw]を上回る冷却能力を持つチラーを選定します。
↓↓↓ 計算式にあてはめて、必要な冷却能力のチラーを探す ↓↓↓
以下で計算式に当てはめたチラーをカンタンに選定することができます。ぜひ活用ください。
チラーの冷却能力グラフの読み解き方が知りたい方は
チラーは循環水の設定温度とチラーを設置する周囲の温度によって、発揮できる冷却能力が変化するため、冷却能力グラフから実際の使用条件における冷却能力を確認することができます。
例)循環水温度25℃、周囲温度25℃の時、チラーの冷却能力を求めます。
右記グラフより冷却能力が約2900Wと求められます。(周波数60Hzにて選定)
この例の条件に当てはまる、おすすめのチラー
チラー
ノンフロンチラー
PCU-NE2500
PCU Series
ノンフロン
- 冷却能力(W)
- 2300/2600
- 加熱能力(W)
- 400/600
- 循環水温度範囲(℃)
- 5〜40
- 温度制御精度(℃)
- ±0.1
- 循環水定格流量(L/min)
- 15/15