組織マネジメントとは~基本的なポイントやメリットを解説~
組織とは、2人以上の人が同じ目的を持って一緒に動く集団のことを言い、大規模な経済活動を行う上で必要不可欠な枠組みとなります。
それを「上手に扱う」「円滑に運営する」ためには組織マネジメントが必要となりますが、具体的にどうすればよいかわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、組織マネジメントの基本的なポイントや導入するメリットなどをご紹介していきます。
目次 [非表示]
1.組織マネジメントについて
まずは、組織マネジメントとはどういうもので、何を目的としているのかを確認していきましょう。
組織マネジメントとは
組織マネジメントとは、一言で言えば組織をスムーズに運営するためのマネジメント手法です。
課長と社長では求められる内容やレベルは大きく異なりますが、組織マネジメントに携わるのは管理職以上の役職の人間であり、「ヒト」「モノ」「金」「情報」の4つの経営資源を管理するという根幹の部分は、ほとんど変わりません。
「ヒト」「モノ」「金」「情報」という4つの経営資源を適切に配分・組織化し、有効に機能させることが、組織マネジメントの本質であり、そうした活動が目的推進や達成につながります。
組織マネジメントの目的
組織マネジメントの目的は、経営資源を適切に管理し、組織としての目標達成に導くことです。
「組織マネジメントとは」の項目でもご紹介したように、主な経営資源は「ヒト」「モノ」「金」「情報」の4つが考えられます。
特に「ヒト」のマネジメントは最も大切な経営資源で、組織の目指す方向へ向かうには「ヒト」の働きは必要不可欠です。
「ヒト」のマネジメントは、感情や体調、生活環境などに影響されやすく、最も難しいものですが、円滑な組織マネジメントを推進するためには、力を入れて管理すべき経営資源でもあります。
2.組織マネジメントの必要性
今、組織マネジメントが必要とされている背景には、競争が厳しくなっていることが挙げられます。
組織をスムーズに運営するために、人材をどのような業務・部署に配属するかという人事的な観点は従来からあったものであり、組織マネジメントの考え方そのものは目新しいものではありません。
しかし、グローバル化やイノベーション化が進展したことで競争が激化し、効率的な組織運営が求められるようになりました。
その中で、組織を支える一人一人が組織の抱える課題を自分のこととして捉え、課題解決のための取り組みを全体で共有し、自らの行動を変えていくような、組織マネジメントの必要性も高まっています。
3.組織マネジメントを始める前に知っておきたい「組織の7S」
組織マネジメントを実施するにあたって、世界的に有名なコンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱した「組織の7S」の概念は押さえておく必要があります。
組織の7Sは、組織の経営要素を次の7つに分類したものになります。
戦略(Strategy)
組織(Structure)
システム(System)
スキル(Skill)
人材(Staff)
スタイル(Style)
価値観(Shared Value)
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
戦略(Strategy)
7Sにおける戦略とは、企業が目指す将来像に到達するために何を行わなければならないかという道筋を示すものです。
戦略は、企業のビジョンの方向付けを行う「企業戦略」、商品やサービスの展開を考える「事業戦略」、事業を運営するための研究、開発、調達、生産、営業などの機能を設定する「機能戦略」の順に策定します。
組織(Structure)
7Sにおける組織は組織構造のことを指し、人々が組織の中で働く上で最も基本的な決めごとのことです。
組織構造は、仕事の種類・目的ごとに組織を構成する「機能別組織」、独立した各事業部が意思決定権を持ち業務を行う「事業部制組織」、特定のプロジェクト専門のチームを作り、各々のチームで独立して事業を動かす「プロジェクト組織」に大別することができます。
システム(System)
7Sにおけるシステムとは、経営資源の1つである「ヒト」を最大限生かすための制度(ルール)づくりのことです。
会社に制度がないと、個人のパフォーマンス頼りになってしまう恐れがあるため、業務に関する手順やルールを明文化することで、すべての社員が一定のレベルで業務を行うことができるようになります。
スキル(Skill)
7Sにおけるスキルとは、組織が持つ他社との競争優位性を意味しています。
この競争優位性を有していると、独自のビジネスを展開することができるため、競争が優位になるとともにマーケットをリードする存在になることができます。
人材(Staff)
7Sにおける人材とは、人材の本質を理解することを指しています。
人材のスキルや知識は、会話などである程度推測できますが、本質は簡単に理解できるものではありません。
業務内外でコミュニケーションを活発に行う仕掛けを設け、個々の本質の理解を深めることで、その人が力を発揮できる場を用意することにつながります。
スタイル(Style)
7Sにおけるスタイルとは、企業カラーのことです。
ルールとして明文化していない、暗黙の了解や不文律の積み重ねがそのまま企業のカラーとなります。
価値観(Shared Value)
7Sにおける価値観とは、企業のビジョンを意味しています。
ビジョンとは自社の存在意義であり、経営者が組織を立ち上げて事業を展開する際、組織を構成するメンバーが力を合わせて事業を進めるためには、明確なビジョンの共有が不可欠です。
4.組織マネジメントを導入するメリット
組織マネジメントの基本がわかったところで、ここからは組織マネジメントを導入するメリットを見ていきましょう。
個別のマネジメントが可能に
組織マネジメントを導入することで個々に合わせたマネジメントが可能になります。
組織マネジメントにおいて「ヒト」は感情や体調、生活環境などの影響を受けやすく、最も取り扱いが難しい経営資源ですが、最も重要な経営資源でもあります。
近年では、契約社員や派遣社員、パート、アルバイトなど働き方も多様化しており、管理職は、「ヒト」それぞれの適性や価値観を理解し、個々に合わせた仕事を配分する必要があります。
組織マネジメントを導入することで、「ヒト」の適正や価値観といった本質が理解できるようになり、労働環境の変化に直面してもスムーズに組織運営ができるようになります。
管理職の負担軽減
組織マネジメントの導入によって管理職の負担軽減も期待できます。
管理職は「ヒト」「モノ」「金」「情報」の4つの観点からマネジメントすることになりますが、組織マネジメントが確立していると、部下も管理職から適切に配分された環境で最大限の能力を発揮できるようになり、結果的に管理職の負担が軽減します。
そのため、管理職は自身が取り組まなければならないことにリソースを割くことができるようになり、個人の生産性を高めることができます。
組織の生産性が向上
組織マネジメントの導入は組織全体の生産性向上にも寄与します。
先ほどご紹介したように、組織マネジメントが確立すると、個人の生産性が高まるため組織の生産性も高まっていきますが、組織マネジメントの効果はそれだけではありません。
「組織の7S」などを用いて組織を分解・見える化すると、「費用対効果が高く人気の広告を自社で取り扱っているが、営業社員の営業スキルが伴っていない」「複数の部署で同じ内容の業務をしている」など、様々な課題が浮き彫りとなってきます。
こうして浮き彫りになった課題を解決していくことで、組織としての業務効率も上がり生産性がさらに高まることが期待できます。
5.組織マネジメントを導入する上で管理職に求められる能力
組織マネジメントを導入したとしても、管理職にそれを運営する能力がなければうまく機能させることはできません。
最後に、組織マネジメントを導入する上で管理者に求められるスキルの中から、特に必要な能力を3つご紹介します。
上手な組織の動かし方を身につけ、組織と自分自身のレベルアップを図りましょう。
コミュニケーション能力
ここで言うコミュニケーション能力とは、上司と部下双方に対するコミュニケーション能力のことを言います。
社長や取締役といった上司は、売上や利益など経済合理性を考え、部下に戦略などの遂行を指示しますが、管理職は部下がその戦略を遂行することが難しいと判断した場合、現場の状況を踏まえて改善を求めるなど、高度なコミュニケーション能力が要求されます。
部下は、業務を遂行することに注力しますが、管理職は部下と密な信頼関係を築き、部下にとって働きやすい環境を整えるなど、業務効率の改善が求められます。
人材マネジメント力
部下に最大限に能力を発揮してもらうためには、人材マネジメント能力も欠かすことはできない要素の1つです。
具体的には部下の個性や持ち味をよく理解して適材適所に人員を配置し、必要があれば動機付けや指導も行う必要があります。
その際は口頭でただ動機付けや指導を行うのではなく、管理職として自分自身が手本を見せることで、部下のモチベーションを上げ、自発的な行動につなげていく必要があります。
計画遂行力
目標達成までの過程を分割・逆算できる計画力に加え、それを遂行する計画遂行力が管理職には必須の能力です。
立てた目標を遂行するためには、人を動かして仕組みを作る力が必要となります。
全員が同じ方向を向いて頑張れるような仕組みを作り、個人の頑張りが相乗効果を生み出すような環境を作ることが大切です。
6.まとめ
組織マネジメントがうまく機能するかしないかで、組織の生産性やモチベーションは大きく変わってきます。
また、せっかくの組織マネジメントが形骸化しないために、コミュニケーション能力など、管理職としての能力も身につけていく必要があります。
今回ご紹介した組織マネジメントの基本や導入のメリットを参考に、高い成果を出せる組織を作っていきましょう。