地球温暖化対策の現状と日本で行われている対策
地球温暖化はすでに世界的な問題として定着していますが、この難しい問題に対して、現在はどのような対策が講じられているのでしょうか。
今回は、地球温暖化の現状と予測を踏まえ、世界で行われている対策や、日本での取り組みついてまとめました。
目次 [非表示]
1.地球温暖化の現状と予測
対策を考える前に、まずは地球温暖化の現状や今後について見ていきましょう。
地球温暖化とは、地球の平均気温が上がることを言います。
地球の気候システムに元から備わっている性質として、大気と海洋の自律的な変動による自然の揺らぎによって、ごく稀に平年以上の高温など異常気象が発生します。
しかし、18世紀後半の産業革命以降、大気中の温室効果ガス濃度が上がり、それに伴って世界のほぼ全域で平均気温が高くなっており、気温上昇による異常気象が起こる頻度も目に見えて増えています。
環境庁では、地球温暖化によって世界の平均気温は次のように変化したと分析しています。
“• 陸域と海上を合わせた世界平均地上気温は、線形の変化傾向から計算すると、独立して作成された複数のデータセットが存在する1880年から2012年の期間に0.85[0.65~1.06]※ ℃上昇している”
引用元
環境省「IPCC 第5次評価報告書の概要-第1作業部会(自然科学的根拠)-」
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf
(2019年7月12日)
なお、今後も地球温暖化が進むと、今世紀末には以下のように気温が上昇すると試算されています。
“• 2081~2100年の世界平均地上気温の1986~2005年平均に対する上昇量は、濃度で駆動されるCMIP5モデルシミュレーションから得られる幅によれば、RCP2.6シナリオでは0.3~1.7℃、RCP4.5シナリオでは1.1~2.6℃、RCP6.0シナリオでは1.4~3.1℃、RCP8.5シナリオでは2.6~4.8℃の範囲に入る可能性が高いと予測される”
引用元
環境省「IPCC 第5次評価報告書の概要-第1作業部会(自然科学的根拠)-」
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf
(2019年7月12日)
上記の現状と予測を踏まえ、現在世界的に取り組まれている対策から、私達ができる対策までご紹介していきます。
2.世界規模で行われている地球温暖化対策
地球温暖化への対策として、各国がそれぞれの状況に応じた対策を講じていますが、ここでは、その土台となる国際条約や、それを話し合う国際会議についてご紹介します。
気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)
UNFCCCは、1992年にブラジルで開催された「環境と開発に関する国際連合会議」で採択された地球温暖化問題に関する国際的な枠組みを設定した環境条約です。1994年に発効され、現在は197の国・機関が加盟しています。
UNFCCCに加盟している国々は、毎年世界の地域を順番にめぐって開催される締約国会議(COP)と呼ばれる国連会議に参加し、国際的な温暖化対策のあり方について議論や交渉を行なっています。
UNFCCCでは、先進国・途上国の取扱いを「共通に有しているが差異のある責任および各国の能力」として以下のように区別しています。
(1)附属書I国=温室効果ガス削減目標に言及のある国(先進国及び市場経済移行国)。(注:削減義務そのものはない。)
(2)非附属書I国=温室効果ガス削減目標に言及のない途上国。
(3)附属書II国=非附属書I国による条約上の義務履行のため資金協力を行う義務のある国(先進国)。
引用元
外務省「国連気候変動枠組条約」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000117.html
(2019年7月12日)
京都議定書
京都議定書は、1997年のCOP3で採択されたUNFCCCに関する議定書で、2005年に発効されました。
京都議定書では、UNFCCCの附属書I国先進国に対して温室効果ガス排出量を1990年比で2008年から5年間で一定数値削減することを課しており、第一約束期間(2008~2012年)ではアメリカは批准を拒否したものの、日本やEUなどは目標を達成しています。
現在は第二約束期間(2013~2020年)中で、排出量を1990年の水準から少なくとも18%削減すること、新たに三フッ化窒素が削減対象のガスに追加されること、約束期間の途中で数値目標の上乗せができることなどが盛り込まれています。
ただ、温室効果ガス排出量の多い中国・アメリカが、削減義務を負わないもしくは取り組みから離脱しており、その他インドのような排出量の多い国も削減義務を負っておらず不公平だとして、日本やロシアなどはこの第二約束期間から不参加を表明しています。
パリ協定
京都議定書は、発展途上国の急激な経済成長によるエネルギー使用と温室効果ガス排出が先進国を上回るほど増大することが想定されておらず、削減義務は先進国のみに負わされていました。そのため、196の国と地域が2015年のCOP21で新たに決めたのがパリ協定です。
パリ協定では、温室効果ガスの削減について、世界の共通目標として以下の内容を掲げています。
“世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする”
“そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる”
引用元
経済産業省資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/ondankashoene/pariskyotei.html
(2019年7月12日)
この協定の最大の特徴は京都議定書のように先進国のみではなく、発展途上国にも削減義務が課されており、またその達成のための国内対策をとっていくことも義務付けられています。
3.日本で行われている地球温暖化対策
ここからは、地球温暖化対策として日本がどのような施策を講じているのかを見ていきましょう。
地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、約束草案の達成に向けた取組を含む総合的かつ計画的な温暖化対策の推進のため、「地球温暖化対策計画」が閣議決定されました。
同計画では、国連気候変動枠組条約事務局に提出した「日本の約束草案」に基づき、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度において2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減)の水準にする目標を掲げています。
4.身近でできる地球温暖化対策
最後に、私たちでも取り組むことができる地球温暖化対策についてご紹介します。
日常のちょっとした工夫と一人一人の意識が、大きな対策にもつながっています。
少しの距離であれば、徒歩や自転車で移動することで、自動車の排気ガスに含まれる二酸化炭素の排出を抑えることができます。また、部屋の電気を消す、夏場のエアコンの温度を高めに設定するなどの配慮で、電気を作るために必要な石油や天然ガスなどの量を削減できます。
温室効果ガスは、大気寿命が長いものが多く、国を挙げて地球温暖化対策を推進したとしても、効果が出てくるのは数十年先ということもあり得ます。
目に見える効果が実感しにくいことなので継続が難しいかもしれませんが、個人や団体の取り組みが積み重なってはじめて、国家や世界的な成果に結び付けることができるといえるでしょう。
5.まとめ
今世紀末には最大で4.8℃も地球の平均気温が上がるという予測を受け、各国ではパリ協定などで定められた目標を達成するための施策を打ち出し、実行に移しています。
国によっては難しい削減目標であることも考えられますが、一個人や団体の温室効果ガス削減に向けた小さな取り組みが積み重なり、いずれは世界的な施策の成功につながります。