森林伐採と地球温暖化の関係、その対策とは
世界では1分間に東京ドーム約2個分の森林が減少しているとされ、森林伐採と地球温暖化はよく関連して取り上げられる問題です。
そこで今回は、森林伐採と地球温暖化の関係や、温暖化抑止にむけた森林伐採対策などをまとめました。
1.森林伐採と地球温暖化の関係
森林伐採と地球温暖化には相関関係があります。
そもそも温暖化とは、地球を適切に保温する機能を果たしている温室効果ガスが必要以上に増加することで、地球に熱がこもり、平均気温が上昇することを指します。
温室効果ガスの7割は二酸化炭素(CO2)であり、その最大の理由は、人間活動や産業活動のために石油や石炭など化石燃料を使用していることですが、二酸化炭素を吸収する森林が減少していることも影響しています。
次の章で、森林が温暖化を抑制するメカニズムについて詳しくご紹介します。
2.森林が温暖化を抑制するメカニズム
樹木は光合成によって、二酸化炭素を吸収し、酸素と炭素を作り出しています。酸素は放出し、炭素は取り込み蓄えることで、生長していきます。
森林はこういった形で、温暖化の主な原因である二酸化炭素を減らし、大気に放たず固定するという役割を担っています。
具体的には、植林から40年経った杉の人工林は、1ha当たり約79tの炭素(二酸化炭素換算で約290t)を蓄え、1年間に約8.8tを吸収すると推定されています。
しかし、森林減少面積は増え続けており、温暖化はさらに深刻な状況になると危惧されています。
3.温暖化抑止のための森林伐採対策
温暖化の加速を食い止めるために、森林伐採への対策も重要な課題となっています。
ここでは有効とされる2つの対策をご紹介します。
植林
森林伐採の対策として、真っ先に思い浮かぶのは植林ではないでしょうか。
事実、荒地を森林に回復できれば、光合成によって二酸化炭素を減少させ、樹木の中に炭素として蓄積させることができます。
しかし、植林には次のようなデメリットも存在し、依然として森林減少による二酸化炭素増加量が植林による吸収量を上回っています。
・森林減少による排出量を再吸収するためには数十年の時間が必要
・樹木の生長につれて二酸化炭素の吸収量が減る
・農地が不足する途上国では植林用の土地の確保が困難
ただ、森林を回復させることは、水、土壌、生物多様性、人間の居住性などの環境の向上にもつながるため、続けていく意義は大きいと言えるでしょう。
木材のリサイクル
樹木は伐採されても吸収した炭素を体内に維持するため、燃やさない限り二酸化炭素を排出することはありません。
そのため、木材を使用した製品のリサイクルも推奨されています。
木材のリサイクルや間伐材などの活用を積極的に行うことで温暖化を防止し、過剰な森林伐採を減らすことが可能です。
4.ポスト京都に期待
地球温暖化の国際的な取り組みを定めた「京都議定書」では、先進国と途上国が共同で温暖化対策に取り組むと、途上国内のプロジェクトでも先進国に削減クレジットが付加されるという仕組み「クリーン開発メカニズム(CDM)」が作られ、革新的な手法として評価されました。
しかし、この仕組みに、途上国の森林減少の防止は認められませんでした。そのため、途上国は森林減少に取り組むための資金調達が難しく、大きな課題になっています。
京都議定書の約束期間が終わる2020年が間近に迫り、こうした現状を打破するためにも、途上国の森林減少に注目した次期枠組み(ポスト京都)に向けて交渉が始まっています。
国連気候変動枠組条約では「途上国における森林減少・劣化における温室効果ガス排出の削減(REDD)」が提案され、森林保全、持続的な森林経営、植林活動も含め「REDD+」と呼ばれています。
REDD+は、先進国も重要性を認識し、世界銀行などが中心となって森林炭素パートナーシップ基金を立ち上げ、具体的な制度設計や評価システムなどが議論されています。
二酸化炭素排出の削減のみならず、森林や生物多様性の保全、地域経済の発展などへの貢献といった点でも効果が見込めるため、今後の新たな条約に大きな期待が持たれています。
5.まとめ
森林は二酸化炭素を吸収し炭素として蓄えることで、地球温暖化防止に貢献してきましたが、大規模な森林伐採により、その効果は薄れつつあります。
植林や木材のリサイクルなど、各国の温暖化を抑止する対策に加え、大きな森林を持ちながらも、森林減少を防止する資金がない途上国を支援するための世界的な枠組みづくりが期待されています。