工場のペーパーレス化で生産性をあげる!導入すべき理由と方法

ペーパーレス化とは文字通り紙をなくすことで、あらゆる情報をデータ化して管理する方法を表します。
製造業でもペーパーレス化が叫ばれて久しいですが、「紙文化」が浸透している工場では難易度が高く、導入してもメリットは少ないのではないかとIT化に二の足を踏む人も少なくないでしょう。
今回は、工場をペーパーレス化するメリットと導入前の確認ポイント、導入ステップをご紹介します。
目次 [非表示]
1.工場をペーパーレスにすべき理由
まずは、ペーパーレス化が工場にもたらすメリットを確認していきましょう。
時間・資源・場所の節約
工場内の情報を電子デバイスで管理するようになると、紙に使われる資源と印刷にかかる用紙代・インク代の節約ができる点が大きなメリットです。
また、書類を保管していた棚を撤去できるため、工場を広々と使って生産ラインを構築できます。さらに、広々とした工場で確認したい書類の保管場所が遠いと、移動するだけで時間を使ってしまいますが、データであれば手元の電子デバイスで確認できるため保管場所に行く必要がありません。
取引先も同じシステムを使っていれば、郵送せずに情報を共有できるといった利点もあり、ペーパーレス化はあらゆるコストの削減につながります。
人手不足をカバーできる
2019年のものづくり白書によると、日本企業の中で特に技能人材の確保が課題になっていることがわかります。
人口減少や高齢化によりますます人手不足が深刻化すると予測できますが、ペーパーレスは労働力不足のソリューションになるかもしれません。
例えば、紙へ記入された情報をパソコンのシステムに打ち込む作業、過去の書類から必要な情報を探し出す作業、人が発注したことによる誤発注などを減らせるため、属人化した業務を削減し必要な労働力を削減できます。
ほしい情報がどこでも確認できる
情報をデータ化して管理すれば、外出先や取引先との商談中でも欲しいデータをすぐに取り出せるようになります。キーワードでの検索もできるため、分厚い書類をめくって必要な情報を探し出す必要もありません。
管理職であれば、稟議書や経費申請の承認作業を外出先でできるのも嬉しいポイントです。申請業務が迅速に行われれば、社内全体の意思決定のスピードも早くなるでしょう。
セキュリティが安心
データ化すると情報漏えいの危険性を心配する方がいますが、書類の盗難・紛失リスクを考えるとデータにした方がセキュリティは強固だとされています。
実際、DropboxやGoogle Driveといったクラウドサービスはセキュリティ対策を強化しており、近年その安全性は向上しています。
2.ペーパーレス化の前に確認しておきたいこと
工場のペーパーレス化で享受できる恩恵は大きいですが、導入を急ぐと、以前と紙の使用量が変わらない、コストが余計にかかってしまうといった事態に陥る可能性があります。
工場をペーパーレスにする前に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。
導入コストの見積もり
ペーパーレステクノロジーの導入には少なからずコストがかかります。パソコンやセキュリティソフトにかかる金銭的な費用だけでなく、新しく導入するシステムの使い方を従業員に指導する時間も考えなくてはなりません。
加えて、今まで紙媒体で蓄積していた情報をデータ化する時間も必要です。その労力と人的コストも踏まえ、データ化により削減できるコストと比較して費用対効果を考える必要があります。
システム障害や機器の故障に対応できるか
電子機器には故障や障害がつきものです。バックアップを常に取っていれば問題ありませんが、ネットの動作不良でクラウドにアクセスできず作業が止まってしまうケースも考えられます。
そういった予期せぬトラブルに対応できる社員を確保できれば一番ですが、外部へ委託する場合でも、システム障害や電子機器の物理的な故障にどう対応するかをマニュアル化しておくと安心です。
スタッフのITリテラシー
パソコンに馴染みがない従業員が多いと、ペーパーレス化がむしろ作業効率の低下に繋がりかねません。ITリテラシーが低い社員が外部へ情報を漏えいさせてしまう、結局紙で情報管理を始めてしまうといったケースも考えられます。
社員の情報リテラシーに不安があれば、ペーパーレス化の前に意見交換会をひらき、彼らの意見を反映させて使いやすいシステムにすると良いでしょう。
3.工場にペーパーレスを導入するステップ
ペーパーレス化の準備が整ったら、次は実際にペーパーレスを導入していく段階です。
この章では、導入フローを大きく3つに分けてご紹介していきます。
ステップ①.業務フローの可視化
まずは、工場での作業工程を書き出し、いま紙で管理している仕事で電子化できる業務がないかを確認していきます。
例えば、在庫管理表を紙で管理していて、定期的に人がその情報をエクセルに転記して保管用の資料としていた場合、紙の在庫管理表をデータ化できないかと考えることができます。
このように業務の棚卸を行い、ペーパーレスにできる部分がないかをひとつひとつ確認し、できそうな業務はどう変えていくかを検討していきます。
ステップ②.段階的にペーパーレスに移行する
電子化できる業務を見つけたら、段階的にペーパーレスを導入していきます。紙媒体から一気に電子機器に移行するとハードルが高く、操作不良やトラブルも起きやすくなってしまいます。
まずは優先度の高い工程から順番にペーパーレス化を実現していきます。その間に説明会を開き、従業員にペーパーレス化の必要性を理解してもらうようにしましょう。
ステップ③.作業員への操作教育
いままで手書きで対応していた部分を電子化すると、作業員によっては使い方がわからず作業スピードが落ちてしまう可能性があります。
そのため、作業員のITリテラシーに応じた研修会をひらき、全員が使えるように教育を行いましょう。
5.まとめ
紙文書を電子化するペーパーレス化を工場に取り入れると、コスト削減や人手不足の解決といったさまざまなメリットがあります。
しかし、導入にもコストがかかるため、故障した時に果たして対応できるのか、従業員は使いこなせるのかといった点をしっかりと確認しておかなければなりません。
実際に導入するときは作業工程を可視化し、ペーパーレスにできる業務を段階を踏んでデータ管理に移行していきましょう。また、電子化した情報を従業員全員が使えるように研修をひらくこともおすすめします。