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スマートシティ構想とは?日本の事例と我々にもたらす変化

スマートシティ構想とは?日本の事例と我々にもたらす変化

近年テレビやニュースで都市開発の話題に触れる際、「スマートシティ」という単語が目に入ってきませんか?全てのものがインターネットでつながり自動で稼働している、近未来的なイメージをもたれるかと思います。

日本におけるスマートシティ構想はいよいよ実現させる段階へと移行しつつあり、コロナ禍も相まって、その動きはますます加速しています。

本記事ではスマートシティ構想について、概念や注目される背景、スマートシティが実現する未来、各自治体での導入事例に至るまで幅広くご紹介していきます。

1.スマートシティ構想とは?

まず、スマートシティ構想とはどういったものを指すのか、その概念や定義、スーパーシティとの違いについて詳しく見ていきましょう。

スマートシティとは「先進技術を活用した持続可能な都市」

国土交通省は、スマートシティを「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義づけています。

ICTとはインフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジーの略称で、通信技術を使って、人と人、人とインターネットをつなげる情報技術のことです。人とモノをつなげるIoT技術とこのICT技術がスマートシティ構想の中核を担います。

街の機能がすべて通信技術でつながることによって、さまざまな社会課題が解決できるといわれています。

例えば、都市部では店舗無人化や無人決済、自動運転による渋滞緩和、過疎化が進む地方ではセンサーを使ったひとり暮らしの高齢者の見守り、ロボットによる農作業自動化などがあげられます。また、水位自動監視システムによる洪水の防止、GPSを活用した災害予測・復旧の迅速化など災害対策への効果も見込まれています。

このように、スマートシティ構想に活用される技術や分野は多岐に渡り、大きな期待が寄せられています。

スーパーシティ構想とスマートシティ構想の違い

日本政府は2020年にスーパーシティ法と呼ばれる「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」を成立させました。スマートシティ構想とどのような違いがあるのでしょうか。

まるごと未来都市をコンセプトにした「スーパーシティ構想」は、下記の3つの条件を具体像として提唱しています。

1.以下のような領域を広くカバーし、生活全般にまたがる。(少なくとも5領域以上)
移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全
2.2030年ごろに実現される未来社会での生活を加速実現する。
3.住民が参画し、住民目線で、よりよい未来社会の実現がなされるようにネットワークを最大限に利用する。
※内閣府 国家戦略特区「スーパーシティ」構想について②具体像 より一部抜粋
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg6/190418/pdf/shiryou3-3.pdf

スマートシティは物流や行政、医療など都市機能の各分野に先進技術を活用しようというものですが、スーパーシティはそれらの分野を横断した共通のプラットフォームを作ろうというものです。「住民の参画」がキーワードであり、住民目線でITテクノロジーを駆使してより良い未来を実現することを目的としています。

スマートシティ構想が分野ごとに個別で取り組むにとどまるのに対し、スーパーシティ構想は全体の最適化を狙ったデータ連携基盤が核となります。

我々の生活を劇的に変化させる都市構想として期待されていますが、一方で生活者の個人情報が一元化されるため、データプライバシーの問題などが不安視されています。

2.スマートシティが注目・必要とされる背景

日本は首都圏の人口比率が高く、かつ上昇を続けており、諸外国と比べても同じ傾向の国は韓国以外に見られません。人口の一極集中により、交通渋滞の悪化や待機児童の増加、医療介護需要の増大、大気汚染などが進む中、地方では過疎化や人手不足が深刻化しています。

スマートシティはそういった課題のソリューションとして期待されているのです。

さらに政府は、持続可能な社会を目指す国際目標「SDGs」に照らし合わせ、スマートシティの実現によって解決すべきさまざまな社会課題をいくつもあげており、期待値の高さがうかがえます。

3.スマートシティが人々にもたらす変化

情報の収集と共有が可能になるスマートシティ社会では、多くの人が物理的な距離や時間的な制約から解き放たれることになります。スマートシティが人々にもたらす変化を「生活の質(QOL)の向上」と「経験的な活動の充実」の2つの側面から見ていきましょう。

生活の質(QOL)の向上

コロナ禍がもたらした大きな変化のひとつに、在宅勤務やリモートワークの普及が挙げられるでしょう。通勤が無くなり、思いがけず生まれた時間を楽しむ人も増えたはずです。スマートシティが実用化されると、同じように時間や行動に対する常識が変わります。

・自動運転車両の普及により、運転できない子供や老人、障がいを持つ人も安全に目的地へ行ける。
・店舗に行かなくてもオンラインで注文し、自宅に新鮮な素材やできたての料理が届く。
・病院に行かなくてもリモートで自宅診療を受けられる。待ち時間もなく薬も配送される。
・勉強や習い事は通学が不要になり、好きな時に好きな場所で受けられる。

すでに近いものになっている分野もありますが、さらに便利になりスタンダードになっていくと考えられます。移動や待ち時間などにかけていた時間は余暇に変わり、生活や健康の質を高める時間として活用できるようになります。


国土交通省都市局「スマートシティの実現に向けて【中間とりまとめ】」より抜粋
https://www.mlit.go.jp/common/001249774.pdf

経験的な活動の充実

移動時間が削減されるスマートシティに暮らす生活者は、新たに生まれた時間を経験的な活動に利用する人も多いでしょう。

例えば、スマホで行き先を検索すると、経路にあわせた乗り物の手配や行き先の登録、その支払いまで一括管理できる「モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)」や、アプリで同乗者を募って車に相乗りする「ライドシェア」という移動システムがありますが、ICT技術が普及しているスマートシティなら容易です。

・スムーズな乗り換えや支払いの一括化で、手配が苦手でも遠方旅行ができる。
・相乗りで交通費が安価になり美術館、音楽会、演劇会に定期的に行く、友人も増える。
・共通の趣味をもつ友人と、体験をもとに起業する。

アクセス能力が向上すれば、ヒト・モノ・コトに出会う回数が自然と増え、感動体験やあらゆる人と交わすコミュニケーションによって、イノベーションも起こりやすくなると考えられています。

4.日本のスマートシティの事例

スマートシティ構想は日本のさまざまな自治体で実証が進められています。ここでは交通分野・環境分野・経済分野の観点からどのような施策が行われているかを見ていきましょう。

交通分野の事例

公共交通機関が少ない地域では自家用車への依存が強く、運転が難しい高齢者や子ども、障がい者といった人々が、買い物や通院といった生活に不可欠な移動ができない「交通弱者」となっています。

このような移動格差問題を解決するため、「生活者がいつでも、どこでも、誰でも移動しやすくなるような仕組みづくり」が日本各地で行われています。

例えば、広島県東広島市では「オンデマンドバス」を採用しています。このオンデマンドバスは、決まったコースを定時運行するのではなく、MONETというアプリを通じて日時や乗降場所を指定した予約を行い、乗客のニーズに応じて目的地まで運行する仕組みです。

また、京都府の精華町と木津川市の「けいはんなプロジェクト」では、2019年にシェアサイクルを使って移動の利便性を上げる実証実験を行いました。京都のように交通機関が充実していても、最寄り駅から目的地までの徒歩が意外と不便なことが珍しくありません。自転車のシュアリングはこのラストワンマイルの移動を大変便利にします。

環境分野の事例

スマートシティの考え方は2000年頃に誕生し、もともとは環境問題やエネルギー産業に関する取り組みとしてスタートしました。情報技術を使った環境問題へのアプローチは現在でも重要なポイントのひとつです。

スマートシティでは、再生可能エネルギーの普及、IoTを活用したエネルギー消費の効率化、ごみの削減や資源活用などが理念とされています。情報技術を活用した各地の事例をみてみましょう。

神奈川県藤沢市は慶應義塾大学と、ゴミ収集の業務改善を図るアプリ「みなレポ」を開発しました。センサーとドライブレコーダーを装着した収集車から「みなレポ」へデータが送られ、アプリを通じて市の職員がゴミの実態を把握し、迅速な処理ができるという仕組みです。

さらに、福島県会津若松市では、山林未利用間伐材を主燃料としたバイオマスエネルギーの地産地消を推進しています。再生可能エネルギーの利用を促すと同時に、林業が衰退し山林放置問題が発生している現状の改善にも役立っています。

経済分野の事例

スマートシティは、経済活動の効率化や活性化も大きな目的としています。消費者データの活用や新たな決済システムは地域産業に経済的利益をもたらすものです。新たなデジタル技術を使った事例をご紹介します。

複数の交通手段の検索予約と決済を一括で行えるアプリ「MaaS」は、北海道エリアから沖縄県八重山地方まで全国30以上の市区町村や地域で個別施策が行われています。交通の利便性は人の流れを促し、観光業をはじめとした地域産業を活性化させます。

また、人手不足が深刻な地方の農業分野ではスマート農業の導入が進んでいます。秋田県仙北市ではソフトバンクが開発したアプリ「e-kakashi」の実証を行いました。田畑に設置したセンサーから取得した栽培・環境データを見える化して農作業の負担を減らし、データを蓄積することで農作業の引継ぎを効率化するシステムです。

5.まとめ

スマートシティ構想とは、ICTなどの先進情報技術を活用した持続可能な都市のことです。車両の自動運転や医療のリモート化、エネルギーの効率化や環境負荷の軽減など、さまざまな社会問題を解決する可能性を秘めています。

また、通勤や買い物などの生活のための移動時間が削減され、体験や出会いにつながる活動時間が増えることで、あらたなイノベーションが生まれると期待されています。

スマートシティの理念に基づいて日本各地では、各分野ですでに取り組みが始まっています。交通弱者を救うオンデマンドバス、ゴミ収集を効率化するアプリ、観光業を活性化させるMaaSなど、スマートシティ構想は日々発展を続けています。

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