配管の仕切バルブの種類と特徴
バルブは流体を流す、止めるといった動作を行う仕切バルブと、経路の変更・分流・合流をする特殊用途バルブに分けられますが、今回は仕切バルブに焦点を当て、その種類や特徴をご紹介していきます。
仕切バルブは構造によっていくつかの種類に分類されますが、配管やポンプにあったバルブを使用しないと、本来の能力が発揮されないだけでなく、大きなトラブルの原因にもなってしまいます。
各バルブの特長を踏まえた上で適したものを選び、それぞれに合った場所・方法で設置しましょう。
1.配管の仕切バルブとは
バルブとは配管内を通る流体の量や方向、圧力などを調整するために使われる部品です。仕切バルブは仕切弁ともいわれ、配管内で流体の流れを仕切って止める、あるいは流路の広さを調整して流量を増減させる機能があります。
代表的なものに、グローブバルブ、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブなどがあります。
2.配管の仕切りバルブの種類と特徴
それでは、代表的な4つの仕切りバルブの特徴について見ていきましょう。
■①.グローブバルブ
丸みを帯びた外観で、球体を表す英語のglobeからグローブバルブと呼ばれ、他にもグローブ弁や玉型弁、ニードル弁、アングル弁などさまざまな呼称があります。
締切り性能が高い、流量調節しやすいといったメリットがありますが、流路がS字型になっており狭い箇所があるため圧力損失が大きいというデメリットもあります。
■②.ボールバルブ
ボールバルブはボール弁とも呼ばれ、穴の空いたボール状の弁体を回転させることで流体をコントロールします。
配管方向に対して流路が直線になるため、圧力損失が小さいという利点がありますが、細かな流量の調節には向いていません。
また、仕様によっては接続配管径が同じでもバルブ内配管径(ボア径)が異なる種類が存在するため、選定の際は注意が必要です。
■③.ゲートバルブ
ゲートバルブはゲート弁ともいい、板状の弁体を使って流路を開閉し流体をコントロールします。
弁を完全に開放すると流路から弁自体が無くなるため圧力損失の観点からは非常に優秀なバルブですが、中間開度で使用すると弁体が振動しトラブルの原因となるため、流量調整はできず、全開か全閉で使用されます。
■④.バタフライバルブ
蝶のような形状で、短い円筒状の本体の中を円盤状の弁体が回転するバタフライバルブは、バタフライ弁や蝶形弁、バタ弁などとも呼ばれます。
シンプルな構造で設置スペースが少なくて済むため、さまざまな場所で使用することができ、圧力損失も少なく流量調整もしやすいというメリットがあります。
しかし、構造上取り付け方向が決まっていることや、弁体が円盤状であることからウォーターハンマーが発生しやすいというデメリットもあり、注意が必要です。
3.仕切バルブの選び方と設置場所
仕切バルブは、工場で使っている配管やポンプ、流体などに合わせて適切なものを選び、設置する必要があります。
■用途に適したバルブを選ぶ
例えば、仕切りバルブは流量コントロールに向いているものと向いていないものに大別できます。ボールバルブやゲートバルブは流量調節には不適切ですが、圧力損失も少なく、停止弁としてはとても優秀です。
ただ、流量コントロールが得意なグローブバルブやバタフライバルブには、圧力損失が大きい、ウォーターハンマーが発生しやすいなどの欠点があるため、自社の配管状況をよく確認した上で、選択しましょう。
■流量調整用のバルブは吐出側に入れる
通常、流量調節用のバルブは必ずポンプの吐出し側に設置します。吸入側に設置してしまうと、バルブを締めた際にポンプへの吸入圧が減少し、配管内に気泡が生じてキャビテーション(空洞現象)が発生しやすくなります。
4.トラブルを防ぐバルブ設置方法
バルブは基本的に配管径と同じサイズのものを使用しますが、グローブバルブやボールバルブなどを選ぶと流路が狭くなるため、計算していた流量が得られない可能性もあります。
その場合、状況によっては全体の口径を上げるか圧力損失が小さくて済むゲートバルブを使用することがあります。また、ボールバルブの中でも配管サイズと同じボア径(口径)が得られるフルボアバルブを使用するなどの対策が必要になります。
また、バルブの設置時は、日々の操作や機器点検のしやすさといった観点から、メンテナンススペースをあらかじめ設けるようにしましょう。
5.まとめ
今回は、仕切りバルブの種類と特徴について説明しました。主な仕切りバルブには、グローブバルブ、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブが挙げられ、構造上の違いから得意とする配管やポンプが異なります。
圧力損失を最小限に抑えたい場合は、ボールバルブやゲートバルブを、流量を細かくコントロールしたい場合はグローブバルブやバタフライバルブを使用するのが一般的です。
また、設置場所によっては、求める流量に応じて口径を上げたり、使用するバルブを変えたりするなどの工夫が必要になってきます。