全体空調と局所空調
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全体空調と局所空調
全体空調とは?
半導体・電子部品・精密機器・医薬・医療機器などの製造プロセスでは、製品の品質や性能を保証し、歩留まりを安定させるために、工程全体やフロア・建屋全体を同一空調レベルの温度・湿度コントロールを導入します。このような空調方式を「全体空調」と呼んでいます。
これらの工程では、微細な粉塵や汚染物質などのコンタミネーション(異物混入)を嫌い、非常に高い清浄度を実現させる必要から、「クリーンルーム」として実現させることが一般的です。
局所空調とは?
全体空調は環境負荷が非常に大きく、かつ製造プロセスや装置ごとに適切な温度・湿度管理をシビアには対応できません。そこで個々の製造プロセスや装置に空間を限定することで、シビアな温度・湿度管理を実現させる空調方式を「局所空調」と呼んでいます。単純に空調機を個別に設置する「個別空調」と区別しています。
さらに、より高精度な温度・湿度管理が要求されるプロセス空調方式を「精密空調」と呼んでいます。
局所精密空調とは?
精密空調にも全体空調方式と個別空調方式がありますが、対象空間を限定した個別空調方式での精密空調をアピステでは「局所精密空調」と呼んでいます。
局所精密空調ユニット 誕生秘話
もともと制御盤を個別空調する空調ユニット(FAクーラー)の専門メーカーであったため、電気電子部品の製造装置向け温度管理・温湿度管理のニーズから個別空調ユニットとして開発されたPAU(Precision Air-evolving Unit)シリーズが誕生いたしました。
全体空調の特長と問題点
全体空調によるプロセス管理では、すべての工程が同一の温度・湿度、さらに清浄度までを運用管理できる空間を実現します。そのため非常に高品質なプロセス制御が可能となります。しかし、その一方で全体空調の導入・運用・管理にはさまざまな問題や困難を乗り越えなければなりません。そこで、全体空調の問題点や課題について考えてみます。
全体空調の設計構想には、製造工程の大きさ、製造装置の規模、プロセスの微細化レベル、プロセスの要求温湿度、原材料の特性変化などを十分に考慮し、さらにプロセスの要求清浄度(クリーン度)も必須となり、要求仕様レベルが高くなるほど、以下の問題がさらに大きくなります。
実際の建設と運用には・・・
- 多大な建設費用と工事日数が必要です。
- 電気や水など、さまざまなエネルギーコストが必要です。
- さらに定期点検やHEPAフィルター交換などのメンテナンスコストが必要です。
プロセスの温湿度制御面では・・・
- 個々のプロセスが要求する温湿度を個別に管理できません。
- 個々のプロセスが要求する温湿度の変更にすぐに対応できません。
- 季節や気候など、外気変動の影響を大きく受けます。
- 大空間のため実際の温湿度は均一ではなく、ばらつきがあります。
さらに、空調機器がフロン排出抑制法の対象であれば・・・
- 定期的な全数点検と整備履歴の記録・保存の義務が発生します。
- フロン漏洩時の適切な措置と漏洩量の報告の義務が発生します。
- 充填回収業者へのフロン引渡し、工程管理表の交付、引取証明書交付の義務が発生します。
全体空調で導入する大型空調機器は、CO2やHFO以外の冷媒を使用し、圧縮機も出力7.5kW以上が多く、フロン排出抑制法の対象となる第一種特定製品に該当します。
アピステが提案する局所精密空調のメリット
即納体制で、すぐに高精度環境を実現します。
最短、3日以内で実現します。
当日のご商談や現場確認から、最短3日以内で高精度な温湿度環境の導入も可能です。
注)翌日配達エリアが前提となるため、エリアによっては日数が異なります。
注)電源や給排水などのユーティリティはあらかじめご用意ください。
設置はカンタン! まずはダクトと電気をつなぐだけ。
最速、1時間以内で設置できます。
対象装置や対象空間がほぼ密閉であれば、精密空調ユニットにダクトを接続し、電気配線を施工すれば、最速では1時間以内で恒温環境を実現します。
注)上記は空冷式温度制御モデルを前提としています。
注)対象装置と対象空間側に一部穴あけ加工が必要となります。
注)電源はあらかじめご用意ください。機種により単相/三相となります。
<設置作業フローイメージ>
環境負荷の低減、大幅なコストダウンと時間短縮を実現します。
- 初期コストの大幅削減
- ランニングコストの大幅削減
- メンテナンスコストの大幅削減
- 打合せ時間の大幅短縮
- 出荷納期の大幅短縮
- 工事期間の大幅短縮
その他、たくさんのメリットをご提供します。
- 局所空間だからこそ、高精度な温度・湿度精度を実現します。
- 移設もカンタン! 要求仕様の変更にも対応します。
- さらに、地球環境にやさしくフロン排出抑制法対象外のノンフロンタイプをご用意しています。
全体空調と局所空調のコストシミュレーション
例えば、以下の条件で全体空調と局所空調のトータル予想コストを考えてみます。
注)以下の予想コストはあくまで参考目安となります。
注)付帯工事内容および設置場所の条件、原材料費の変動などによって異なります。
注)局所空調のコストには既存空調関連の費用は含まれていません。
右のトータル予想コストを費目別にみると、全体空調のイニシャルコストはもちろん大きいですが、電気代を中心としたランニングコストが想像以上に高くつくことが分かります。
局所空調なら、
イニシャルコストを大幅削減できます。
- クリーンルーム建設費
- 空調機費
- クリーンユニット費
- ユーティリティ工事費
ランニングコストを大幅削減できます。
- 電気代(空調)
- 電気代(FFU)
- 電気代(照明)
メンテナンスコストを大幅削減できます。
- 定期点検費
- HEPAフィルター費
全体空調と局所空調の温湿度精度における注意点
対象空間の温湿度精度は、おもに以下の要素に関係し、大規模な全体空調になるほど影響も大きくなります。そのため、大規模な全体空調になればなるほど、高精度を維持するための空調システムは肥大化せざるを得なくなります。
対象空間の大きさ
対象空間が大きくなるほど温湿度を高精度に維持するのが困難になります。
換気回数と風量
換気回数を多くし大風量にすると温湿度の分布が均一になり、高精度を維持しやすくなり、さらに対象空間の清浄度(クリーン度)はアップしますが、維持費もアップします。
冷却/加熱能力と除湿/加湿能力
空調機の吸込空気(OA)の最高/最小温湿度条件を対象空間の目標温湿度条件に十分到達可能な冷却/加熱/除湿/加湿能力がないと、目標温湿度条件に達しないだけでなく、温湿度が安定せず、外乱の影響を受けやすくなります。
空調制御方式
組み合わせる空調システムによっては、温湿度が変動する原因となることがあります。デフロストが必要な大型冷却器では、デフロスト中は、温湿度条件を外れることがあります。湿式の大型加湿器は、気化潜熱により空気の温度が低下します。デシカント式と呼ばれる吸着式除湿器は、ローターの加熱再生のため大きな排熱処理が必要です。
侵入熱/放熱
対象空間の周囲からの侵入熱や放熱があると、対象空間の外乱要因となり、侵入熱や放熱の大きさによっては、その影響を大きく受けることがあるため断熱対策が必要となります。
外気導入と外気変動
全体空調の場合、外気導入するため導入する外気の変動により、夏・冬や天候により取り込む温湿度が大きく変動するため、空調機で処理する空気(SA)も連動して変動し、時には目標温湿度条件から外れることが起こります。
全体空調と局所空調の温度・湿度精度を比較すると以下のようになります。
(目安) | 全体空調 | 局所空調 |
---|---|---|
温度制度 | ±2~5℃ | ±0.1℃ |
湿度制度 | ±5~10% | ±1% |
全体空調と局所空調の温度・湿度精度を比較すると以下のようになります
(目安) | 全体空調 | 一般空調 | 精密空調 |
---|---|---|---|
温度制度 | ±2~5℃ | ±1~2℃ | ±0.1℃ |
湿度制度 | ±5~10% | ±5% | ±1% |
イニシャルコスト | ▲ | ▲ | ◎ |
ランニングコスト | ▲ | ○ | ◎ |
メンテナンス | ▲ | △ | ◎ |
個別制御 | ▲ | △ | ◎ |
設置納期 | ▲ | △ | ◎ |
ノンフロン化 | ▲▲ | ▲▲ | ◎ |
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- 高精度な温度管理を低コストで実現したい
- プロセスごとの温度・湿度管理を実現したい
- 全体空調や本格的クリーンルームより
省エネにしたい