クリーンブースの構造と種類

局所的な空間管理に使用されるクリーンブースですが、クリーンブースと言ってもたくさんの種類があります。この記事では、クリーンブースの構造や部材、材質や設置場所別のブースの種類について解説しています。
ぜひブース選びの参考としてください。

簡易クリーンブースの構造と部材

簡易クリーンブースは、右図の通り非常にシンプルな構造で短時間で設置が可能です。

フレーム

柱や梁などのフレームは基本アルミやスチールですが、クリーン度の高い工程や腐食を嫌う場所ではステンレスも選ばれます。

ビニールシート

クリーンブース用のビニールシートは、防炎型、帯電防止シートが推奨されます。透明シートが主流ですが、紫外線を嫌うプロセスではUVカットのイエローシートが使われます。

クリーンファンフィルタユニット

クリーンファンフィルタユニットはFFUとも呼ばれ、内部にファンモータとHEPAフィルタを内蔵し、クリーンブース内を陽圧にします。

HEPAフィルタ

HEPAフィルタは、0.3μmの微粒子を99.97~99.99%捕集できる性能をもった高性能フィルタです。

HEPAフィルタ

照明

クリーンブースもサイズが大きくなると、内部が暗くなるため照明を設置します。

出入口

単純なビニール式ですが、出入り時の外乱や密閉度などに留意して、重ね合わせ、カーテン、のれん、マジックテープ、ファスナー等さまざまな出入口の様式があります。

ウェイトチェーン

ビニールシートだけでは、めくり上がることがあるためビニールシートの裾を袋綴じし、ウェイトチェーンを重しとして入れたりします。

クリーンブースの種類

【空調付きブース(温湿度制御ブース)】

1.温調型クリーンブース

試験機、測定機、検査機などをクリーンブース内に設置する場合、装置自体に要求される温度管理基準やJIS規格の規定があるため、温度制御が必要となります。

2.温湿度管理型クリーンブース

温湿度の変化で物性や特性が微妙に変化する対象物を扱う工程の場合、周囲やブース内の温湿度の変化に影響されない、精密空調付きの恒温恒湿型クリーンブースがあります。

3.除湿・ドライルーム型クリーンブース

粉体や医薬品のように吸水性の高い原材料を扱う工程の場合、空調機で簡易的にドライルーム型のクリーンブースの実現も可能です。

【材質・構造別ブース】

1.ビニールシート製クリーンブース

クリーンルームのように壁で部屋を区切るのではなく、軽量で組立が簡単なビニールシートを材料として清浄空間を作ることができます。用途に合わせてシートの素材やフレームの材質を選択します。安価なPVC(ポリ塩化ビニル)を利用されることがありますが、防炎・不燃シートがお勧めです。

2.帯電防止シート製クリーンブース

ビニールシート素材でも、特に電子部品や基板、フィルム貼り合わせ、粉末調合など、粉塵やパーティクルの侵入や付着を嫌う作業を行う場合、帯電防止、防塵・コンタミ対策として帯電防止剤を練りこんだり、塗布された帯電防止シートを選択します。

3.イエローシート製クリーンブース

イエローシートは紫外線を透過しないため、紫外線から目や皮膚を保護し、露光装置やレジスト液などの感光材など紫外線に敏感な材料を扱う工程で利用されます。材質はPVCがよく使われます。
イエローシートは、レーザー光の直接照射を避ける効果はありますが、レーザー光の遮光や危険防止には適さないため専用の遮光シートや遮光プレートが必要です。

4.アルミフレーム&アクリルパネル製クリーンブース

シート以外では、アルミフレーム枠にアクリルパネルをはめ込んだ組立構造で、見栄えも良く、扉なども設置できるクリーンブースもあります。ラインの形状に合わせて設計し、インラインでも設置が可能です。

5.断熱パネル製クリーンブース

断熱パネルを利用すると、ほぼ簡易クリーンルームとして使用できる仕上がりとなります。断熱パネルの材質は用途によって異なり、不燃材や耐火材、帯電防止鋼板や抗菌鋼板などを使用します。断熱パネルの芯材も、硬質ポリウレタンフォームやロックウールなどさまざまです。

6.ステンレス製クリーンブース

ステンレス製のクリーンブースは、医薬品製造、半導体・液晶・電子部品工程、食品工場などで利用され、高い清浄度と滅菌対応が要求されるプロセス、微粒子の飛散や耐水性・耐薬品性が要求されるプロセスで利用されます。

【設置場所別ブース】

1.オフライン設置型クリーンブース

一般的なクリーンブースのほとんどは、オフラインに設置するタイプです。
生産ライン外での製品検査、各種試験機・分析装置に対して高度なクリーン空間を提供します。

2.インライン設置型クリーンブース

生産ライン中の重要な作業工程で、異物やほこり・パーティクルの混入や付着を防止するため、生産ラインのレイアウトやサイズ・形状に合わせてカスタマイズしたクリーンブースです。さらに、精密空調機を追加することで、インラインで清浄度と高精度な温湿度管理が可能となります。

【特殊ブース】

1.クリーンベンチ

クリーンベンチは、机上に設置し、手前が開放できる構造になったクリーン化装置で、もともとは生物学や生化学の研究に利用され、ほこりや微粒子、微生物の混入(コンタミネーション)を防ぎながら作業を行うための装置です。クリーンブース同様、天井部にクリーンファンフィルタユニットを搭載しています。

2.防爆型ブース

防爆型ブースは、引火性・爆発性のあるガスや液体を扱う場所で、局所的にクリーンな環境を提供するための装置です。防爆要求に準じた構造になっており、ファンモータや照明機器なども防爆仕様になっており、アルミやステンレスの材料も使用しません。

3.ドラフトチャンバー

有害物質から作業者を保護する装置で化学実験などで使用され、作業空間内を陰圧に保ち、有害物質が漏洩することを防ぎます。

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