熱膨張係数
この記事では、温度変化による物質の膨張・収縮について解説します。
熱膨張
熱膨張とは、物体の体積が温度の上昇に伴って増加する現象のことです。
例えば1mの鉄の場合、10℃の温度変化で100μm以上の誤差が生じます。
1℃あたりの物体の膨張比率を熱膨張比率といいます。
代表的な材料の熱膨張係数一覧
空調と熱膨張の関係
一般空調下と精密空調下では、物質の大きさにかなりの違いが発生します。
一般空調の場合
一般空調の場合、外気温の変化などの影響により、製品や検査・研究の材料や製造・検査機器が置かれている温度環境は大きく変動します。
この温度変化により、材料や機器自体も熱膨張によって大きさが変化します。
精密空調の場合
一般空調では、設定温度±5℃程度の変動が想定されるのに対して、精密空調では、±0.1℃という温度環境が可能です。
細かな温度調節は、ものづくり現場における品質向上に必要不可欠なのです。
一般空調下と精密空調下での熱膨張比較
ここでは、年間を通して一般空調下では10℃、精密空調下では0.2℃の環境温度変化を想定し、材料も環境温度と同じ温度になると仮定した場合の変位を比較します。
通年の温度変化が、
一般空調=±5℃:
精密空調=±0.1℃ と考えると
素材1mあたりの変化は、下表のようになります。
温度変化を抑えると、物質の大きさの変化はここまで軽減できるのです。
材料 | 一般空調 | 精密空調 | 材料 | 一般空調 | 精密空調 |
---|---|---|---|---|---|
鉄 | 0.117 | 0.00234 | ポリエステル | 1 | 0.02 |
アルミニウム | 0.238 | 0.00476 | ポリエチレン | 1.8 | 0.036 |
金 | 0.142 | 0.00284 | ポリ塩化ビニル | 0.8 | 0.016 |
銀 | 0.189 | 0.00378 | ポリカーボネート | 0.7 | 0.014 |
銅 | 0.168 | 0.00336 | ゴム | 1.1 | 0.022 |
亜鉛 | 0.33 | 0.0066 | ポリイミド | 0.54 | 0.0108 |
鉛 | 0.291 | 0.00582 | エポキシ | 0.62 | 0.0124 |
ニッケル | 0.128 | 0.00256 | ガラス | 0.09 | 0.0018 |
SUS304 | 0.173 | 0.00346 | セラミック(炭化ケイ素) | 0.044 | 0.00088 |
はんだ | 0.25 | 0.005 | シリコン(ケイ素) | 0.026 | 0.00052 |
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