温度と湿度の基本

ここでは、温度と飽和水蒸気量の関係についてまとめ、一般空調下と精密空調下での大気中に含まれる水分量を比較します。

※物体の含水率によっても乾燥スピードは異なりますが、本編では含水率については触れません。

温度変化と湿度・乾燥

「ものづくり」において、物体の水分量(含水量)の変化による特性の変化は、製品の品質に大きく影響します。

乾燥速度や乾燥状態をキープするためには、湿度管理が不可欠です。

湿った物体から水分が蒸発すると乾燥します。空気中の水蒸気量が少なければ少ないほど、水分は蒸発しやすく、物体は乾燥しやすくなります。

湿度とは

湿度とは、大気中に含まれる水蒸気量とその割合のことです。

湿度は、大きく絶対湿度と相対湿度があり、一般的に天気予報などで使用されているのは相対湿度です。

相対湿度とは

相対湿度(RH)とは、ある温度の大気中に含まれる水蒸気量mwを、その湿度の飽和水蒸気量mmaxで割った割合です。

RH(%)=mw/mmax×100

この相対湿度が100%の場合、大気中に含まれる水蒸気量が飽和し、結露が発生します。
その時の温度を露点温度といいます。

絶対湿度とは

絶対湿度には容積絶対湿度と重量絶対湿度がありますが、空調分野では重量絶対湿度を使用するのが一般的です。

水蒸気を含む空気を湿り空気といい、湿り空気から水蒸気を除いた空気を乾き空気といいます。

その乾き空気の重量mDA(kg)に対して、湿り空気中に含まれる水蒸気の重量mw(kg)の割合を、重量絶対湿度(SH)(kg/kg)といいます。

SH(kg/kg)=mw/mDA

温度と湿度について

同じ水分量でも、温度を下げれば(相対)湿度は高まります。

これを理解するには、気温によって大きく変化する「飽和水蒸気量」を知ることが役立つでしょう。

飽和水蒸気量とは

飽和水蒸気量a(T)(g/m³)とは、1m³の大気中に存在できる水蒸気量のことで、質量(g)であらわしたものです。

この飽和水蒸気量は温度に大きく関係し、温度が高くなると多くなり、温度が低くなると少なくなります。

a(T)=(217×e(T))/(T+273.15)
e(T)は近似的に、
e(T)=6.1078×10^(7.5T/(T+237.3))

で求めることができます。

※今回、臨界圧(=22.12MPa)付近の計算は省きます。
※臨界圧(力)とは、臨界温度付近の気体を液化するのに必要な圧力のことです。

飽和水蒸気量シミュレーション

年間で5℃から35℃近い温度変化がある一般環境下と、常に25℃±0.1℃の温度管理をしている精密空調下を比較してみると、下記の結果になります。

温度変化が5℃から35℃まである場合は、約6倍の差があることが分かります。

精密空調機で25℃±0.1℃で管理した場合、ほとんど飽和水蒸気量の変動がありません。

温度差5℃から35℃と、24.9℃から25.1℃の精密空調下では、飽和水蒸気量の差は、約164倍となります。

精密空調を使用すれば、温度とともに湿度・飽和水蒸気量もキープすることができます。

1年を通して、現場環境の飽和水蒸気量を安定させ、水分の乾燥量を安定させることにつながるのです。

※一般空調の場合、空調の能力が不足するなどの理由により、空調の場所によっては通年で上記のような(5℃~35℃)温度差が生じる場合があります。

風について

風を利用して、水分の乾燥量をコントロールすることも可能といえます。

物体の表面付近に、水蒸気が飽和した空気が滞留していると、乾燥を防げることになるからです。

物体の表面にムラなく「乾燥している風」を吹き付けることで、乾燥を促進させることができます

季節によって歩留まり・測定データの変動はありませんか?

精密空調専門メーカーのアピステなら、年間通じた恒温恒湿環境を短納期で実現します。

  • 材料の粘度の変化で、厚みや塗りムラができる
  • ワークの膨張・収縮が問題になっている
  • 測定条件の変動でデータがバラつく
精密空調機をもっと見る