ポンプ能力の決定方法
揚程(ポンプの液体を押し上げる高さ)を満たすことがチラー選びの必須条件です。
冷却水を循環させるのに必要なポンプの力は「揚程」で表すことができます。
揚程は、チラーと負荷(装置)をつなぐ配管の状況によって変わります。
以下に、配管条件等から、揚程を算出する方法をご紹介します。
STEP1配管長を求めます
チラーから装置までの配管の長さ:3+5+4=12m×2(往復分)=24m❶
STEP2継手の抵抗を直管長に変換し、配管長に加えます
継手の直管相当長を表より求めます。表よりねじ型90°ショートエルボの25A→1.6m
1.6×4(ヵ所)=6.4m❷ ❶+❷=24m+6.4m=30.4m❸
名称 | 継手形状 | 管径(上段B)(下段mm) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
1.6 | 2.0 | 2.3 | 2.6 | 2.9 | ||
0.5 | 0.6 | 0.7 | 0.9 | 1.1 | ||
90°ショートエルボ | ねじ | 1.6 | 2.0 | 2.3 | 2.6 | 2.9 |
フランジ | 0.5 | 0.6 | 0.7 | 0.9 | 1.1 | |
90°ロングエルボ | ねじ | 0.8 | 1.0 | 1.0 | 1.1 | 1.1 |
フランジ | 0.5 | 0.6 | 0.7 | 0.8 | 0.9 |
継手の形状によって抵抗が変わるため、上記の表にて直管長に変換したときの値を確認します。
STEP3流量と配管径から「損失水頭※Hf(m)」を求め、「STEP02」配管長合計にかけます。
流量30L/min、配管径25Aの場合、右のグラフより
Hf=0.04Hf(m)❹ ❸×❹=30.4×0.04=1.2(m)❺
※損失水頭:菅の摩擦による圧力を配管の径別、流量毎に配管1m毎の長さで表したもの。
※ウィリアム・ヘーゼン公式 Hf=5.4775×10-3・C-1.85・D-4.87・Q1.85・L・α
(D:菅の内径、Q:流量、L:菅の長さ、α:安全率)
STEP4チラーから装置までの上昇高さを加え、揚程を算出します。
流量30L/チラーから装置までの高さ:5mの場合…❻
❺+❻=1.2(m)+5(m)=6.2(m) 必要な揚程は6.2m❼
STEP5STEP 04で算出した揚程を満たすポンプを選定します
流量30L/グラフに示されたチラーの揚程能力は、流量30L/minのときは揚程が19m(60Hzの場合)。
従ってこのチラーの揚程能力は必要揚程(6.2m)を満たしています。
19m > 6.2m