冷媒
冷媒は冷凍サイクルを形成する作動物質で、液体の状態で周囲の物質から熱を吸収し低温で蒸発し、物質を冷却する媒体です。
1928年、米国GM(ゼネラルモーターズ)社がフロン12(クロロフルオロカーボン)を初めて開発しました。1930年からデュポン社と共同で「フレオン」という商標で生産を開始しました。フロンは化学的、熱的に極めて安定しているため、開発当時は夢の化学物質ともてはやされていました。
冷媒はクロロフルオロカーボン(フロン)が発明されたことにより飛躍的に冷凍技術が発展しました。しかし、このクロロフルオロカーボン系冷媒の中で、塩素を含む冷媒(CFC、HCFC)R12・R22の塩素が地球の成層圏に到達し、大気圏への紫外線の透過を防いでいるオゾン層を破壊していることが判明しました。結果、その製造、利用が全面的に禁止されました(1995年)。さらに塩素を含まないHFCも地球温暖化に影響していることから、その利用が見直されようとしています。現在、冷凍技術分野では、このフルオロカーボン系冷媒の代替物質の研究・開発が進められています。その中には、イソブタン、二酸化炭素(CO2)などがあり、総称して自然冷媒と呼ばれ注目を集めています。
制御盤用クーラーなどには代替フロンと呼ばれているR134a、R407C(3 種混合冷媒)が使用されています。世界的な環境保存の観点からHFC、および混合冷媒の利用、廃棄には制約があり、許可なしに廃棄すると行政処分の対象となります。(フロン回収破壊法、およびフロン排出抑制法)
参考リンク→フロン排出抑制法
各種冷媒別オゾン破壊・温暖化係数比較
種類 | 記号 | オゾン層破壊係数 (ODP) |
地球温暖化係数 (GWP) |
|
---|---|---|---|---|
CFC | クロロフルオロカーボン | R-12 | 1 | 10900 |
HCFC | ハイドロクロロフルオロカーボン | R-22 | 0.055 | 1810 |
HFC | ハイドロフルオロカーボン-① | R-134a | 0 | 1430 |
ハイドロフルオロカーボン-② | R-32 | 0 | 650 | |
HFC混合 | ハイドロフルオロカーボン 3種(2種)混合冷媒 |
R-407C | 0 | 1774 |
R-410A | 0 | 1980 | ||
R-404A | 0 | 3780 | ||
HFO | ハイドロフルオロオレフィン | R-1234yf | 0 | 4 |
自然冷媒 | イソブタン・二酸化炭素(CO2) | R-600a | 0 | 3 |
R-744 | 0 | 1 |
冷媒の呼称法
単一冷媒 | 共沸混合冷媒 | 非共沸混合冷媒 | 無機冷媒 |
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※共沸とは混合する冷媒の沸点がほぼ同一です。非共沸とは、混合する冷媒の沸点が異なります。