集塵機 周辺情報 1-4.粉塵に関する法令
1-4.粉塵に関する法令
労働安全衛生法・粉じん障害防止規則
労働安全衛生法は労働基準法と相まって、安全と健康について制定された法律(労働基準法第42条)です。政令、省令とは、条文をより詳細に解釈し具体的に定めたもので、労働安全衛生法でいえば政令は「労働安全衛生法施行令」です。
また、省令は、すべての事業場に適用される「労働安全衛生規則」と、特定の設備や業務を行う事業場だけに適用される「特別規則」に区分されます。例えば、粉じんにさらされる労働者の健康障害を防止するための特別規則が「粉じん障害防止規則」です。
粉じん障害防止規則とは
粉じんを長い期間にわたって吸い込むと、肺の中に粉じんが蓄積されて、息切れや動悸などの健康障害を引き起こし、やがては、じん肺という病気を引き起こす可能性があります。じん肺は一旦、罹患すると現代の医学でも治すことができないといわれています。
従って、じん肺の原因となる粉じんにさらされる労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないことを明確にしたものが、「粉じん障害防止規則」です。「じん肺法」は第1条にもある通り適正な予防および健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持、その他福祉の増進に寄与することを目的として制定された法律ですが、粉じん障害防止規則が制定されて以降、じん肺法との一体的運用を図るため、厚生労働省では「粉じん障害防止総合対策」を現在の第9次まで定期に策定し、周知しています。
粉じん障害防止規則の主な内容としては、粉じんの発散抑制措置、特別の教育、休憩設備、清掃、作業環境測定、呼吸用保護具について、労働安全衛生法に基づき規定されています。
粉じん障害防止規則の対象となる作業
粉じん作業と、粉じん作業のうちその粉じん発生源が特定粉じん発生源である特定粉じん作業が規則の対象となります。
粉じん作業とは粉じん則別表第一に掲げる作業のいずれかに該当する作業です。また、特定粉じん作業とは粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源(別表第二に掲げる箇所)であるもので、具体的には屋内または坑内などにおいて固定した機械や設備を使用して行う粉じん作業に係る発生源です(下図)。
なお、粉じん障害防止規則における粉じんの種類については粉じん則第13条で粉じんをヒュームと、ヒューム以外の粉じんに分けて規定されています。
粉じん作業と特定粉じん作業
粉じん作業(粉じん障害防止規則 別表第一より抜粋) | 特定粉じん発生源(粉じん障害防止規則 別表第二より抜粋) |
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研磨材の吹き付けにより研磨し、又は研磨材を用いて動力により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、若しくは金属を裁断する場所における作業 | 屋内の、研磨材を用いて動力(手持式又は可搬式動力工具によるものを除く。)により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所 |
岩石又は鉱物を切断し、彫り、又は仕上げする場所における作業(第13号に掲げる作業を除く。)。ただし、火炎を用いて裁断し、又は仕上げする場所における作業を除く。 | 粉状の鉱石又は炭素原料を原料又は材料として使用する物を製造し、又は加工する工程において、 粉状の鉱石、炭素原料又はこれらを含む物を混合し、 混入し、又は散布する場所における作業(第12号から第14号までに掲げる作業を除く。) |
屋内の、研磨材の吹き付けにより、研磨し、又は岩石若しくは鉱物を彫る箇所 | 屋内の、原料を混合する箇所 |
設備や管理についての規定
粉じんの発散を防止、または減少させるために必要な設備などの基準、粉じん作業の管理について粉じん障害防止規則で定められています。
① 設備などの基準
特定粉じん作業については、特定粉じん発生源に対して密閉設備や排気装置、換気装置の設置などの措置を行うことが定められ、さらに局所排気装置およびプッシュプル型換気装置のうち一定のものについては、除じん装置の設置が義務付けられています。特定粉じん作業以外の粉じん作業について、粉じんを減少させるため屋内では全体換気装置による換気の実施またはこれと同等以上の措置を講じなければならないとされています。
ここでいう同等以上の措置とは、特定粉じん発生源と同じく発生源に対して密閉化、局所排気装置の設置などの措置となります。
局所排気装置の要件
- フード、ダクト、ファンは機能的に設置し、排出口は屋外に設けること。
- 厚生労働省が定める要件を満たすように稼働させること。(下記)
- 1年以内ごとの定期自主点検の実施とその記録保持など。
除じん装置の要件
- 有効に稼働させること。
- 1年以内ごとの定期自主点検の実施とその記録保持など。
厚生労働大臣が定める要件
粉じん障害防止規則にはフードの型式に応じて局所排気装置の性能を得るための制御風速が定められています。
粉じん障害防止規則で告示されている制御風速
粉じん則第27条第1項ただし書の規定による制御風速
フードの型式 | 制御風速(m/s) | |
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囲い式フード | 0.7 | |
外付けフード | 側方吸引型 | 1.0 |
下方吸引型 | 1.0 | |
上方吸引型 | 1.2 | |
備考
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粉じん則第4条または第27条第1項ただし書の規定による研削盤、ドラムサンダーなどの回転体を有する機械の制御風速
フードの設置方法 | 制御風速(m/s) |
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回転体を有する機械全体を囲う方法 | 0.5 |
回転体の回転により生ずる粉じんの飛散方向をフードの開口面で覆う方法 | 5.0 |
回転体のみを囲う方法 | 5.0 |
備考
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② 粉じん作業の管理
定期自主検査の実施 | 局所排気装置およびプッシュプル型換気装置、除じん装置については、定期自主検査や点検などを行うことが定められています。 |
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特別の教育の実施 | 常時特定粉じん作業を行う作業者に対し、「粉じんの発散防止および作業場の換気の方法」「作業場の管理」「呼吸用保護具の使用の方法」「粉じんに係る疾病および健康管理」「関係法令」についての教育の実施が定められています。 |
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休憩設備の設置 | 粉じん作業を行う作業場以外に休憩設備を設けることが定められ、休憩設備を利用する前には、粉じんを除去できる用具で、作業着などに付着した粉じんを除去することとされています。 |
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清掃の実施 | 粉じん障害防止規則では、事業者は次の清掃を行わなければならないとされています。
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環境測定の実施 | 常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場について、事業者は6月以内ごとに1回、定期に空気中の粉じん濃度を測定し、その都度、作業環境の管理の状態に応じ、測定の結果を評価しなければならないと定められています。また評価を行ったときはその記録を行い、7年間保存しなければならないとされています。 |
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計画の届出 | 粉じん発生源における粉じんの発散を防止するための局所排気装置またはプッシュプル換気気装置の設置や移転、変更を行おうとする事業者は、あらかじめ所轄労働基準監督署長に届出することが必要となります。 |
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呼吸用保護具の着用 | 粉じん障害防止規則別表第三に掲げる粉じん作業に労働者が従事する場合には有効な呼吸用保護具を使用させなければならないとされています。 |
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